
社会人から公認会計士を目指す場合の理想のステップ
もしあなたが社会人で、(もちろん若ければ若いほど良いですが)公認会計士をめざしているのなら・・・
大丈夫です。確かに遅めではあっても遅すぎることはありません。収入と実現可能性をおさえた完璧なフローがあります。
方法自体はシンプルですが、公認会計士試験は難関試験のため戦略を立てずに挑むと人生を無駄にします。仕事と両立しながら目指す社会人は必ずこの方法で挑んでください。
結論
それではまず結論から言います。
税理士試験の「財務諸表論」と「簿記論」に合格すること。
これです。
え?税理士試験?と思った方も大丈夫です。これはちゃんと会計士試験の記事です。焦らずにもう少し読み進めて下さいね。
前提
まず、解説に入る前に大前提として。
公認会計士になるには、
- 短答式試験の合格(4科目同時に合格)
- 論文式試験の合格(7科目同時に合格)
- 監査法人の実務経験
- 修了考査に合格
という課程を経ることが必要です。一方税理士になるには(参考)、
- 財務諸表論
- 簿記論
- 税法科目3科目
の合格が必要です。
そして、会計士はそれぞれの試験で全科目合格水準以上の得点が必要で1科目でも点数が低いと不合格になります。一方税理士は1科目ずつ好きなものから受けていくことができます。
また、公認会計士の短答式試験合格の実績は合格後2年を過ぎると実績が消えますが、税理士は一度合格するとその科目の合格実績は一生消えません。
ここの違いが今回大事になってきます。
一旦、現実的な話
残酷な話ですが、サラリーマンの方が空いた時間を縫って一から勉強したところで公認会計士試験の短答式4科目は絶対に合格できません。無謀すぎます。
冷静に聞いて欲しい事ですが、これは事実です。
本当に地獄のような試験なので、短答式4科目合格は時間を確保して勉強に専念できる人しか無理です。
精神論で気合だ気持ちだ為せば成るだなんだ言っても一般的な脳みそではマジで無理です。
しかし聞いてください。会計士になるのを諦めろと言っているわけではありません。なれます。会計士にはなれますからどうか聞いてください。
要するに戦略を立てる事が大事なんです。
戦略
ではまず、なぜ税理士試験の財務諸表論と簿記論の2科目からとりにいくか。
そこから説明します。
それは、公認会計士試験の科目免除を利用するためです。
あまり知られていませんが会計士試験にも科目免除制度はあります。社会人の仕事と両立組はこれを最大限に使います。
税理士試験の財務諸表論と簿記論に合格した人は、会計士試験の短答式のうち、財務会計論が免除になります。
これが本当に大きいことなんです。
短答の財務会計論ははっきり言って会計士試験の最大の鬼門です。その難しさは想像を絶します。簿記2級の難しさを仮に1としたら、財務会計論は37くらいです(笑)。
・・・基準がよくわかりませんが、とにかくめちゃくちゃむずいです。
この鬼みたいな科目と、他3科目を全て合格してやっと短答式合格。第一関門突破です。ここまできてやっと初めて正攻法組は実績を一つ手に入れます。
ちなみに、これが普通の大学生なら全然話は違います。さっさと資格学校へ行って二年間本気で勉強して短期決戦で臨んでください。最大火力でやりましょう。その二年間があなたに勝ってる人の人生をくれます。時間がある人はこの正攻法で挑んでください。
しかし、なんども言いますが社会人はマジで時間がありません。正攻法とか言ってらんないです。
朝から晩まで仕事のことを考え、結果にコミットし続けてやっと「ふつう」の評価です。昼の休憩も1時間しかないです。そんで仕事終わったあととかもう普通に寝たいですよね。満員電車から降りて家に向かってその後の時間を無駄にせずに、、、とはよく言いますが、会計士試験に対してはその状況じゃ普通にやったんじゃ無理です。
そのコンディションで毎日時間とれて記憶力も若くて良くて、バチバチに仕上がってる大学生と戦えと言われても不利すぎます。
そのための戦略です。
財務会計論を、前述した税理士試験の2科目を使って免除します。
もちろんその後は他の受験生と同じルートを辿ることになります。財務会計論以外の科目(管理会計論・企業法・監査論)を合格して論文式を合格と行った流れは変わりません。
何が違うのか。そんなこと言っても難関には変わりない税理士試験の科目を、しかも2科目も合格しなきゃならないなんて、逆に効率悪くね?
そう思うかもしれません。確かに効率は悪いです。
でも、これは社会人のための戦略です。それが全てです。
仕事以外で捻出した勉強時間で受かるには、これが最も安全で早い道のりだと思います。
2科目合格することで経済的なリスクをヘッジできますし(優良資格保有による有利な転職)、散々時間を使っても何も残らなかったと言うリスクもヘッジできます。そして何より税理士試験の科目合格は一生消えません。と言うことはつまり一生会計士試験の財務会計論は免除になると言うことです。
リスクへの備えは絶対に必要
考えてみてください。仮に会計士試験の試験勉強を普通に始めて10年経ったとしましょう。短答式に受かってなかったらどうなりますか?(こわすぎ)
はい。あなたはただの人です。
別に勉強していたとかそんなの関係ありません。あなたはただの人なんです。他の同い年の人と何も変わりません。
何もやっていなかった人と転職市場で何も変わらないただの人なんです。
と言うより、他の人は仕事で得たスキルがありますが正攻法で短答受かってないと丸腰なので、むしろ不利とまで言えます。
その点、財務諸表論と簿記論はそれ自体持っているだけでも普通にまあまあ食っていけるくらいの資格(厳密には科目)です。全然平均以上の暮らしはできます。
この水準を保ちつつ受験して高みを目指す。これが基本的なスタンスだと思ってください。
実際この2科目だけでも持っておくと転職市場でも普通の人とは別次元に有利に働くので経済的にも改善されます。
ワークライフバランスの整ったホワイト企業に勤めたほうが勉強時間も多く確保することだってできます。
それに対して、いきなり会計士試験の短答式を受けにいっても、受かるまではただの人です。転職して徐々に勉強と両立させるのに有利な環境へと改善していくことができません。
ここが一番大事なことなんですね。
チャレンジとリスクと可能性
人生一度きりです。チャレンジするのは本当にかっこいいし立派だと思います。でも、人生は一度きりなんです。そして失った時間は2度と戻らない。
若ければいくらでもリカバリが効きますが、歳重ねてくるとそうはいかないです。
だから、社会人から会計士になるためには、税理士の科目合格からの科目免除で勉強する環境を徐々に改善してリスクをヘッジしながら攻略するしかないんです。
まとめ 短答式合格後は
短答式に晴れて受かった後は専念してさっさと論文式をパスしましょう。
短答式試験に受かったと言うことは、それはつまりあなたの人生は公認会計士になる人生ということです。噛みしめましょう。そして実家に戻ってでも借金してでも何してでも専念して死に物狂いの最大火力で突破してください。
ここまできたら絶対迷っちゃだめです。
一番怖いのは短答に受かったのに論文式試験に受かることができず2年を超えてしまうこと(これを受験界隈では三振と言います)です。
この場合は短答式合格者を武器にして就職がベターですが、実際精神的にマジできついと思います。
だからそうならないために、短答に受かったのなら論文は絶対最大火力で挑みましょう。両立は一旦お休みです。論文突破したら監査法人に入れるので収入は保証されます。
全国の公認会計士を志す全ての人に、幸せな人生が訪れることを願っています。